人形願望/木原東子
1
7歳の女子Y、何者かに命じられ
人形を手作りすること決意
綿、晒の布、針糸鋏
どこから手に入れたものか
胴体、手脚四本、それぞれの大きさに
チクチク縫った
ひっくり返して綿を詰める
手脚は大変だ
綿を包んだ布をぎゅっと絞って
丸い頭の出来上がり
胴体に押し込む苦労
手脚は仕方ない背中に縫い付けよう
毛糸の髪の毛つけたら
さあ顔だ
インクで丸いおめめ
睫毛もばっちりだ
近所の女子たち毎日見に来た
お人形なんて買えないその日暮らしの
2
Yの母親からはいと渡されたもの
Yは目を疑った、母の手造りの人形だった
もっと大きい
で
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