人形願望/木原東子
 

7歳の女子Y、何者かに命じられ
人形を手作りすること決意

綿、晒の布、針糸鋏
どこから手に入れたものか

胴体、手脚四本、それぞれの大きさに
チクチク縫った
ひっくり返して綿を詰める
手脚は大変だ

綿を包んだ布をぎゅっと絞って
丸い頭の出来上がり
胴体に押し込む苦労
手脚は仕方ない背中に縫い付けよう

毛糸の髪の毛つけたら
さあ顔だ
インクで丸いおめめ
睫毛もばっちりだ

近所の女子たち毎日見に来た
お人形なんて買えないその日暮らしの


Yの母親からはいと渡されたもの
Yは目を疑った、母の手造りの人形だった
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