12/古代 透
 

林檎の匂いのする空から
上手く云えないけれど
指さきに吸いつく 音符

バスケットガールの公園で
痩せていく木々を見ながら
つまさきに駆けぬける 車輪

ゲーテの詩集の栞紐が
二つを撚るようになびく

薄紫に染まる窓から
青の落ちる窓へ

きっときみはいい人だ
時々しか云えないけれど
軒さきに下げている 風鈴

鳴らす声と 鳴るのど
鳴らす温度と 鳴る手のひら

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