草原へのコラージュ/草野春心
 


{引用= 「歯」

  数匹の
  蟻とともに
  おまえの白い歯が
  焼かれている
  雨は
  降らず
  風だけが、その
  匿名の乾きを
  旗印のようにたなびかせている



 「遊戯」

  私が両手のひらを開いて
  親指同士を結ばせると
  透明な蝶が足もとに羽ばたく
  そこの君、
  鋸か何かで
  私の両手を切り落としてくれ



 「子等の声、子等の影」

  果てしない広さの向こうから
  子等の声が響く
  遠くからだとそれは
  泣いているように聴こえるが
  近づいてみると彼らは笑っている

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