月の囁き/菜穂
命は生まれ、命は消える
終わりなき命の連鎖には
百の千の虚しさがある
無駄な命など無いさと
何度も自分に言い聞かせてみた
人の意識に留まる事もなく
人の心に残る事もなく
理解される事もなく
愛される事もなく
不器用にしか生きられない自分に
今更ながらに気づいたりもした
人の心に留まる術を知らず
人に愛される術を知らず
孤独を癒せる物など無いと
何度も自分に言い聞かせた
それでも自分らしくある事が
生きていくという事なんだね
月はそれを知っていた
闇はそれを知っていた
いつも耳元で教えてくれていた
囁くように
呟くように・・・
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