青森行き/木原東子
 
Y一家北国に行く
鹿児島から、蒸気機関車にて
二晩寝て座席から転げ落ちた

到着、霜月、小雪

窓から永遠に降る雪を
あきず眺めた

二階まで積雪
道から雪の階段を下りて
やっとポストにたどりつく

馬車が走り
乗っているのは
カイマキを頭から被った土地のおばさん

小川のそばに水道が一本
近所の人が来て洗濯をする
絞るやカチンと凍る

言葉が通じない
ラジオもろくにないので
標準語を知らない子ども達

Yのオトートはしょっちゅう溝に落ちた
一面の雪なので

 *****

一面のたんぽぽだった
春になるや

家の先は八甲田山まで原
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