ボヘミアンラプソディー/しゅう
ちはいない
十字架を背負えないボヘミアン
世界は言葉を亡くすたび、ボヘミアンに問いかける
大人になって頭痛だけを覚えた
鈍すぎる痛み
花が関節に根を張って、おれをベッドに縛り付ける
美しく咲かせるための犠牲
時間泥棒も、言葉泥棒も
世界を盗んでいる
できるならおれも居直り強盗ぐらいふてぶてしくなりたい
(砂漠で響く銃声は、テレビを通して流れてくる
けれど喉笛から漏れ聞こえる、死の息づかいは)
葬列はおれに並べと呼びかける
あなたを美しく咲かせるために
あなたを葬れと
何もない背に、枯れた太陽が注ぐ
世界は亡くした熱を求めている
ボヘミアンは力の限り叫ぶ、その義務がある
嘘のようなうたがある
嘘のような牢獄に
嘘のような世界がある
けれど、あなたを嘘にしたくない
おれはあなたを背負いたい
おれはあなたにうたいたい
(目覚めて、散らかった部屋に帰ってくる
あなたの寝顔で安心する
けれど、窓の外に広がるうたを僕はどうするのだ
どうすればいいんだ、ボヘミアン)
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