ボヘミアンラプソディー/しゅう
うたという牢獄があった
あなたを閉じこめて
美しく咲かせるための
(逃げ出した校庭を誰も追ってこられないように)
格子戸に規定されたボヘミアン
歪んだ壁、歪んだ鏡
うたは片足立ちで揺れて
ボヘミアンは自分の顔も忘れる
辞書には食べた跡がいくつもある
誰かが何かを奪ったのだ
世界は言葉を亡くすたび、ボヘミアンに助けを求める
でも、おれにはうたなんてないんだ
あなたを縛って、鞭打って、改造して、美しく咲かせるための
そんな牢獄をうたと呼ばせて
(昼下がりの暗闇を、僕は覚えている
誰もいない教室に、僕たちの影が踊っていた)
死んだ友だちは
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