惑星深草/灰泥軽茶
遠くからでもわかる黒目が印象的な
小さな女の子たちがそれぞれ発泡スチロールの箱に乗せられ
疎水路をベルトコンベアーのように流されてきます
とても楽しそうで何やらカラフルなおもちゃを振り回しています
チョコクリームが詰まっているのではないかと思うほど
丸々と太った柴犬がよちよちと飼い主に引き連れられ
そちらに向かって疎水路脇の道を散歩しています
等間隔に並ぶ石造りの橋には
それぞれ象形文字のような紋章が彫られており
蔦でびっしりと絡められた橋もあれば
つるつるに磨かれた橋もあり
それが一体全体いつの時代のものか見当がつきません
疎水路脇には延々と枝垂れ桜が並び
一年中開花し心地良い甘い風に吹かれ
花びらは落ちていき絶え間なく埋めつくし
終点に行くにしたがって
小さな女の子たちは繭のように丸く包まれていき
生ある物が滅びゆく一瞬の芳香を放ち
空にふわふわシャボン玉のように飛んでいきます
戻る 編 削 Point(2)