初めての衝動/灰泥軽茶
 
いたずらなことをくりかえすことによって

私にとって本当に大切なことを

忘れてしまったような気がする

覚えておきたい断片的な記憶を

輪ゴムで留めておいたはずなのだが

いつのまにかほつれ散らばり

記憶の隙間に入り込んでしまった

隙間を覗き込むと埃や紙屑と一緒に

何かの衝動の残滓が

痛痒く隙間に詰まっている

指先をピンと伸ばして

心の先端をできるだけ細く薄く伸ばしていけば

見たくもない汚れた残滓と一緒に

私にとって遠い過去に初めて爆発した

一番大切な衝動を手に入れられるはず
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