街のかたすみに/寅午
 
おまえは見つけた
だれにも邪魔されない、やすらぎの場所を

いつからか、おまえは街をさまよっていた
建物のかげにかくれ
通りにすてられたゴミを漁った
ひとかけらの食べ物も
渇きをうるおす水も ままならなかった
日に日に、おまえはよごれ、毛艶をなくし、やせ細っていった

山のほうから 雪がながれくるころ
おまえは見つけた、この場所を
ここはおまえだけの場所
もうだれもおまえを追い立てたりしない
おまえを玩んだ手も
ここまでは届かない

いまこの林の茂みに
その姿はやすらかに眠るよう
おまえの無垢の魂は
みじんの疑いも、怒りも
恨みさえ抱かず、遊びつかれた子ど
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