絵画の定義/葉leaf
 
事件のように孤独だった。彼女が来たことで、絵は、自分の文字を秘し届ける相手がやっと現れたと思った。
 だが彼女の肉体から放たれた蒸気は、或るときは父親に、あるときは恋人に、あるときは夕食の準備の計画に、その先端の熱をすべて分け与えていた。彼女にとって、絵は現在のどこの隙間にも存在していなかった。絵は彼女の現在を完璧に包もうとしてそこから無限に離れてしまった。
 彼女が来たとき、絵は自分の孤独が分裂したように感じた。上層の孤独は彼女の軌跡により美しく削られ、下層の孤独はその圧力を一層正しいものにした。だが彼女の無関心により、絵の孤独は再び融合し、その針と根と眼を増やした。
 あるとき彼女は絵に手をかけた。外して捨てるためだった。だが絵は信じた、この瞬間だけ彼女は自分を愛した、と。捨てられた後も、絵は信じ続けた。探し尽くされた愛、一つの色へと漸進する愛、孤独をきれいに折りたたむ愛を。


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