恋愛哀歌/永乃ゆち
 
ほっぺたの大きなニキビ理由(わけ)にして恋することから逃げ続けてた

少しずつ爪の先から侵されてその他大勢になってく私

お互いがお互いの為生きているコールタールに花の咲く時

潰される潰される潰されてゆく無言が私の首を絞めてる

本当は「愛してる」じゃなく「ありがとう」が欲しかった夜気温も低い

雨粒にさえも否定されている私あなたを愛してるだけ

ほっぺたのニキビを気にせず会えるほど若くないんだ近くないんだ

優しさに紛れて泣いた夜があるプールサイドは月に照らされ

朝露に蜘蛛の巣が光り美しくあったのだけれど壊してしまった

(もう二度と恋はしない)夕暮れに蛍光灯がぱちんと切れた

愛してるそれは本当だけれども強さが違うベクトルが違う

潮が引くように心もいつの日か離れてしまう誰のせいでもなく

忘れられた貝殻ひとつ息をしてどこで涙を流すのだろう

秋桜の花びら一枚唇にそっと触れた(また恋をする)

ごめんねさよならありがとう ただ誰も傷付けたくはないと思った

戻る   Point(1)