御影石/木原東子
 
広大な八柱霊園の
松飛台門のそばの
御影石のそこそこの墓

運のよいYの弟が一度で引き当てた都営の墓地に
小さな喪服の一団が派手な祭壇をこしらえて
供物を盛った
多くの病の最後は餓死、Yは事実を見たなと思っている
アルコール分解酵素がないのに日本酒が好きになった奴だった

細分化された専門職が来て
納骨を準備する
地下室にひとつYの父親が入っている
二十三年間暑さ寒さに独り居た

四十九日の間に寡婦に慣れるわけもなく
Yの義妹ははしばしに夫の若死にを悼んで
白地に青い唐草模様の、せめて高価な骨壺を
撫で回した

並んだ二つの骨壺は
いかにも安い、いかにも高
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