柿の木のある家/西天 龍
 
今年も庭の柿がたくさん採れたから
喜ぶ顔思い浮かべて
孫のところに送ろうと思うの
若い頃のあなたは
荷造りが上手だったわね
どんな大きな荷物でも
まるで手品のように紐をかけた
でも、今はガムテープだから
私一人でも大丈夫

上の子は来年就職して家を出るんですって
私もおばあちゃんになるわけね
あなたが逝って7年目の秋
思い出の中のあなたは
ずっとあのときのまま

柿の木のある大きな家
子供たちが巣立ち
あなたも長い旅に出たままの家
縁側でひとり
流れる雲にあなたを思う
すこし寂しいけどひとりじゃない
今でもあなたのことが大好き
それが私の生きている証

少し寂しいけど
思い、思われ
ひとりじゃない
思い、思われ
決してひとりじゃない

戻る   Point(4)