デート/はるな
だれも時間についてはっきり理解したとは言えない。その君の言う、すき間に落ちていった人だけが時間をほんとうに知ったのかもしれない。彼らが同じ時間に戻ってきていないのはとても残念なことだね。」「でも僕は思うよ。たとえば君がそのすき間に落ちてしまったとしても、僕は君を見つけるよ。僕は僕の時間から君を見つけるよ。それまで君は、君の時間をゆっくり味わっていればいいんだ。だからそんなに心配することはないよ。」
「励ましてくれているの?」
「そうだよ」
「わかった。十日後に。でももしかしたらわたしは明日もひまかもしれないわよ。」
そうして僕たちは手を繋いで歩き出した。はっきりと同じ時間が流れている。すれ違う人々に、木々に、静かなベンチに、空に。僕の時間も、彼女の時間も、ずれることなく、なにか大きなものの流れをあるべき方向へ進んでいる。
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