江古田家臍次第(えこたけへそのしだい)/salco
の母を受け取った
ありし日の母と同じ娘を
親孝行も加味して育て
成人させ
四十七歳になっていたが
息の愛情を一身に享けて育った母は
そんな家が疎ましくもあり遊び歩くうち
馬のホネの子供を孕んで結婚を反対され
後ろ足で砂をかけるように出て行った
息子は母を死んだものと思いあきらめ
だが母から遺された資産には手をつけず
母本人に遺す旨の遺言状を作成して十年後
七十一歳の春
ウィルス性心筋炎で急死した
報せを受けた母は五人もの子持ちとなっており
必要以上の生活苦にすっかり萎びていたが
亡父の慈愛に悔悟と感謝で滂沱しながら
この死別でやっと安気に暮らせると内心
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