平行世界、飛行ねこの沈黙/宮岡絵美
 

その生態はよく調べられてはいるようだが

人々は口には出さない

黙って空を指さし

(ほら、飛行ねこがとんでゆくよ)

空を見上げ

心の中で頷く

どこか神聖な 許された存在なのだ

その風景自体が

我々の生存をつよく肯定してくれるような



風が吹きつける

飛行ねこ達の足並みは少し乱れるが

大勢に影響はなく

群れは力強い足取りで

ゆったりと進行してゆく

見上げると互いに戯れあっているものもいて

相変わらず風は吹いている

我々はしばし遠くの空を見上げ

銀河系にひっそりと放たれた

たとえば

飛行ねこのような生きものの存在を必要とする

地球の将来に

遠く思いをはせてみる



http://www.eonet.ne.jp/〜tobeistodo/hikounekopoem.html
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