面影レントゲン/灰泥軽茶
これはいつの面影だろうか
胸にぽかりとあいた穴は
形を変えいつかの面影となって
おぼろげに映す
ぼんやりと映った影は
飼っていた猫の日向ぼっこの面影のような
よくブロック塀の上で気持ちよさそうに
丸くなっていたなぁ
膨らんだり縮んだりする影は
雨が降った翌日快晴
水たまりの面影のような
空の青さと白さを鮮やかに映した
朝の水たまり
大きくて飛び越えられずに覗きこんだ空
小さな粒粒がたくさんある影は
木々の匂いが香ばしい
木漏れ日の面影のような
走って走って雑木林を
登って仰いだ未来は
何にでも自由に飛翔した遥か彼方
いくつかに変化した面影は
ぽかりとあいた穴を少しずつ塞いでいって
私を呼び覚ます
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