羽/itukamitaniji
うち新しいビルが建った
そしていつしか そこにデパートがあったという
記憶すら失くなった それが普通の風景になった
失くなるものと生まれるもの その価値がイコールじゃない
いつの日か気付いて 何かを手離すことが怖くなった
でも知らずに理解できた 誰に教わってもいないのに
感情に名前が付いて ちゃんと感じれるようになった
それが悲しさそれが寂しさ 自分が流した涙の意味とか
大事にしなくちゃ いつもすぐに忘れてしまうから
羽を一枚拾い上げて 綺麗だねって笑っていた
そして惜しみも無く 自分よりそれを必要とする誰かに
差し出せる優しさ 一体どこで教わっただろう
きっとそれを優しさと 名付けるずっと以前の話
いつか知らずに理解できた 誰に教わってもいないのに
目には見えなくなっても 心にたくさん残ること
それが思い出それが記憶 自分を形創るもの
大事にしなくちゃ いつもすぐに忘れてしまうから
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