文学の夜/MOJO
 
ルは怒りが冷えたのか、大人しくなり、カウンターへ戻り、映画、ゴッドファーザーについてアキちゃんに語りだした。
 騒ぎの収まりがついてから、俺はコテハンHに訊いてみる。 
「おいH、おまえ、ワタルを怒らすようなことを、何かしたのか?」
 顔面蒼白で、むっつり押し黙っているH。俺は、心の中でHに申し訳ない気持ちでいっぱいである。しかし、絡まれるHにも問題はなかったのか、俺は考えてみる。もしかすると、Hは、文学の話をしたのかもしれない。無教養なワタルは、きっと、その手の話が大嫌いに違いない。酒が入っているとしても、部外者に文学の話など、するものではない。その辺に原因があるならば、Hも絡まれて仕方が
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