立冬砂時計/
小池房枝
郵便受けに
ときどきは
うれしくないこともない便りが届いている
待っていたものではないけれど
一番欲しい手紙は
決して来ない
相手はもう
亡くなって随分と久しい
もしもらえたなら一番うれしい手紙も
来ない
相手は今
一緒に暮らしているひとだから
一緒にいるひとは時折り
買ったままの絵葉書をくれる
時を折るようにして
枝折りのように
自分の言葉は何も書かずに
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