終りから射す光/殿岡秀秋
にすぐに乾いて
潤いを求めるように
新たな冒険に旅立った
大人になって
合気道の稽古で
左手の親指の爪がわれた
絆創膏をつけておく
爪がのびて
われたところを切りとるまでは
保護しておくほかはない
時が傷を癒すのだ
毎日少しずつでも時間をかけて
自分を見つめ
修練を積みかさねなければ
得られない自由がある
いつもの道を
普段どおりにあるいて
決まった時間の電車に乗って
冒険に向う
座席に座って
携帯パソコンを開き
今までに踏みこんだことのない
言葉の森にわけいる
いつのまにか人生の終りから
薄い光が射すようになった
空想に濡れた子どものころより軽くなった翼で
残された時の空へ飛びたつ
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