鳥貴族の夜に/シリ・カゲル
 

「真っ赤な薔薇って、セクシーじゃないですか」
全盛期のあの人たちが言っていたけど、

鳥貴族の新郎はスクリーンの向こう側に手を伸ばし
独特のモーションで拾い上げる
ソウルの神様があえて音の符に還元しなかった
約束はいつだって駝鳥の羽根

フィルムの切れ端が空回りを続けて
ふわふわとした『ジョージア・オン・マイ・マインド』
もらい欠伸の時間
コーヒーの香りが構成員たちの眠気を覚ますまで
しっとりとした夜になる

だれかがアクセルをふかせすぎると
だれかがブレーキを効かせる
すべてがタマゴの殻の
表側と裏側の問題なのだ
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