揺曳/伊月りさ
肋骨の奥
さざめく内海(うちうみ)
水面には
破砕された斜陽が撒かれていて
大都会みたい、
いつか つながっているという証明すらあった
いらない町みたいだね、
と つぶやくにも莫大な筋力が必要だということ
きみとなら共有できる
気がする、
秋だからかな、
切るってどういうこと、
わたしはずっと沈められているからわからない、
どこからがわたしの家で
どこからがきみの家で
いくら目を凝らしてもわからないのに
さようなら、は水も切れるの、
と たいせつなきみが
つぶやく
おとうさんとおかあさんはりこんしたんだよ
わたしりこんってよくわかんない
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)