ひしゃげた月よ/田園
今宵の月はひしゃげた月よ
なンか足んない頭でうかれる
さかづきに注ぐは甘美な水よ
一気に飲みほしブハハと笑う
楽してェか
師匠は言った
はいしたいです
俺様は言った
だったらお前に薪をやる
それで暮らしてみたら楽だろうよ
師匠はさっさと去ってった
女もさっさと去ってった
長続きしねェんだ
愛が感じられないの
三文芝居だ
なァ月よ
満月にもなりきれなかったひしゃげた月よ
この俺を照らしてなんとする
まさかスポットライトではないだろう
この俺は
なんで生きてるんだろうなァ
嗚呼月は雲でちりじりになった
藍色の世界でたしかなもの
何もない俺が俺を照らして
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