LOVE/HATE/檸檬16g
 
馬鹿らしい、と貴方は、あの時、蔑むような眼光で真っ直ぐにあたしを見て、云った。
そして姿を消してしまった。


皿を齧るのは、その白さに見惚れたから。わからないの?味は無意味よ。わからないでしょ?精神の食事なのよ。ただ、恍惚に溺れることに意味があるの。優しい歌を聴く時の様に、澄んだカタルシスの様に、甘美な婉曲を味わうの。

あなたがあたしの何を嫌い、出て行ったかは検討がつくのだけど、何を好いたかは全く検討がつかないから、その愛の残骸をこの部屋で探してるの。そして、骸骨になっても貴方の事を忘れないように深い傷を刻むの。毎日の日課として、貴方が毎日座っていたソファにもたれて、同じヶ所を何度
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