Luca/Lily Philia
きるルカ。
マリア様のようにほほえむルカ。
むせかえりそうな午后、
夏の熱と一緒に
たくさんの死骸たちが
土の上に積み重なってゆく。
その一番うえで
手をつなぎあって寝ころんで
神さまのうたを一緒にうたったね。
まわりは蜜のにおいに満たされてたね。
「はじめのふたっつが死んでね。」
ルカがゆう。
「きれいな色。きれいな形。」
あたしは小さくうなずく。
ルカはすみれのように揺れてみせて笑う。
それから蝶々がばらばらにされて
土になってゆくのを
ふたり、ずっとみていた。
祈って。
ルカの声が
あたしを引き戻してしまわないように。
祈って。
ルカのほそいほそい指先が
あたしを殺してしまわないように。
祈って。
祈って。祈って。
花びらの雨のなか
あたしはルカを埋めた。
あの日
せかいはどうしようもなく
やさしかったね。
あの日
せかいはどうしようもなく
うつくしかったね。
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