梅干しの予感/灰泥軽茶
 
つばがじわりと溢れる
喉ぼとけを鳴らし梅干しを予感する
大きな瓶に詰められた
肉厚の梅干しは
弾けそうなほど丸みを帯び

さあひと口でおやんなさいと
口をまんまる放り投げれば

すっぱい、すっぱい

ほほのうちがわとろけちゃう

鼻から息を吸い込めば
鳥の唄声耳の奥
瑞々しさに生まれる光と
ほろっと匂わす春の予感

戻る   Point(4)