末路/草野大悟
 
ひまわりは もう 空いろの自転車をこがない
それが すっかり あかね色にかわって 杖をついて 
やっと歩いているから

風をたべていた鳥は 夢をたべはじめてからずっと 腹をすかせ
風は その鳥をたべたせいで 空を吹けずに地を這っている

たくさんの男たちと体を重ねてきた女は 収納ケースのなかから
ほころびほつれた糸を持て余している男を撰びだし 雑巾にして
零れたミルクを一度だけふき 涼しい顔してゴミ箱に捨てる

それぞれの末路が
それぞれの殻をつけたまま
蒼い海のなかを漂っている
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