森のエニシダ/Lily Philia
(みっつのおはなし)
エニシダは、立派な低木樹です。
あたしの背よりも少しだけ高い
ちょうどいい面もちをしています。
毎年、雲雀たちが
無数にからだを駆け抜ける季節には
まるでひかりをくりぬいたような
やさしいこがね色の花をつけます。
それが雪のようにも時雨る季節が
あたしは一等にすきです。
まばゆい緑を
きらきらと光らせたなら
ララと呼ばれるその森の
果てを守るみたいに
エニシダは佇んでいました。
ララの奥の
ずうっと奥の
アザミのたくさんに咲いている
やわらかい土のぬくもりのことを
ふたりでよく思い出します。
ある日、
「あすこを天
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