てんごくからのがらくた/Lily Philia
 

(不意に骨の外れる音が響いた。
にじむ、夏の表面に静電気が奔る。)
あたしは、ひりひりとする肌に触れて
確かめていた。
(だいじょうぶ。少しぴりぴりとしただけ。

 水に映し出されている
 あたしの眼差しと出逢う。

胴体のちぎれた黄色いちょうちょが
視界を横切ってゆく。
そしてこれは、遠い遠い出来事です。
果たされぬ約束のような朝のことです。
黄色い帽子のこどもたちの行進が
まぶしそうにわらっては
にげてゆく。 
最後尾の女の子が
小さく手を振っているのが
みえた。
あたしは驚いたみたいに跳び起きて
バス停までのみちを駆けおりる。






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