秋は雲のようにやさしい/とろり
あおぞらにふれることのなかった雲に
おやすみと声をかける
届いているように見えたのは
錯覚だから
あなたは泣かなくてもいいんだよ
秋は
なにかがたりない
地上の彼処に
おきざりにされた感情が
とおい、とおいと叫ぶから
雲の気分で
みんなが 笑っていた
場所を
やさしく
ころしてあげた
秋は
わたしだけをのこしてね
急速に干あがるの
雲のようにやさしい
逢えないからせつないのに
せつないのが嬉しい
あなたをそのたびに感じて
しあわせよ
そのうちにまた雲が泣きだすから
わたしはわたしの
窓を閉ざすの
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