エリタージュ/あまね
 
綿毛の海で泳ぐ
後ろ姿を探す
秋の始まる午後に
あたたかさとつめたさの両側から
等しく守られていることを知った


星の人から届けられる
言葉によらない通信を
言葉に変えようとする拙い試み
不完全な僕たちには
気づくだけでは足りなくて
確かめるための言葉が必要だから
星の人のかわりに
世界を描く

星の人は世界を描かない
描かなくても
彼はもう世界そのものだから
僕たちが怒り、泣き、笑う
営みの全てを見守る視点そのものだから


愛される方法がわからなくて
恐ろしい夜に幾度も
肌を裂いた少年が
大人になっ
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