街の小石/
灰泥軽茶
浮浪者らしきお婆さんが
駅の切符売り場で
どこに行こうか思案している
手押しカートには
伸ばして結わえた
スーパーの白い袋が
たくさん詰め込まれている
どこかに遠出して
白い袋にひとつひとつ
名前のない小石を大切に入れ持ち帰り
名前をうやうやしくつけてあげ
街に離してやるのが役目なのだろうか
そんなことを考えて眺めていると
いつのまにか切符を買い
お婆さんは自動改札機を
足もともおぼつかない様子で
手押しカートを押しながら通り過ぎて行った
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