パウルス・ポッター/m.qyi
 
パウルス・ポッター

四百年の向こうから牛がしばらく自分を見つめていた
牧草が広がり、緑色から水色に薄い空気が融けていく低い彼方の地平線に建物の塔が棘のように刺さっている
遠く平地から此処まで、そんなに静かに見つめられても私も困る。
私も見つめているのだから。

あちらには牛、こちらには私が在るが間の距離が外に在るので牛も私もない。
牛も私も区別なく在るその牛に距離なく見つめられ
私の姿があなたの瞳の輝きに大きく映っている。青い光といっしょに。
あなたは私の瞳には入りきれない大きな牛だ。瞳に写った木陰から鳥の囀りが聞こえる。

その場所からこの場所まで一続きにつながっている
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