黒色の格子の中の人影の/空中分解
排水溝に水が流れていく
無関心なざわめきが街からきこえ
ぼくは窓の外を眺めている
通りを徘徊するばばあの持っている
乳母車の中身はしゃれた靴下が一足で
足音を消すには物足りない
だっだっだだだっだだだっだ
だっだっだだだっだだだっだ
燃えた車が部屋の中に停っている
これでこの冬は寒くはないだろう
ぼくは手を炎にかざし
ついでにばばあを放り込む
不参臭いしゃがれた声が中からきこえる
顔を近づけて黙れと言う
だっだっだだだっだだだっだ
だっだっだだだっだだだっだ
煙は街に充満し
息を吸おうとする人々は
ビルから次々と飛び降る
排水溝はつまったままで
水はもう流れこまない
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