遺影の朝/こしごえ
遺影の朝や。
嗄れる
遠雷の
ぴんと空気はしっとりしめり
入道雲の成れの果
あめんぼすいすい
あめんぼすい
いずれいっしょにほほえみ浮かべ
ある冬の先にある
寒林へ
黙禱を捧げる
宙の幽かないきづかい
仄暗く咲いている
白い花のえにし
静かに
草いきれ
吸う肺の
すこやかを願う
青空のかなしさを
真っ直ぐにっこり素晴しい
(ほかのせいにしては始まらない
要はある意味自分次第)。
雨はとうとう降り出した
思う存分、泣くといい
泣ける時に。泣けない辛さが
時にはある
あ、「泣きたいけれど、泣けない
なんて残酷ね」と
くりかえす
あめんぼ飛んだ
空では今朝もおしゃべりしている
(有り難く)いつも通りの
秘密の、会話、
(光によって)限り無くなるこの影を
刻みこむ
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