堤防と/Lily Philia
 


電信柱の
路地を抜けて
懐かしい唄は右手に

選べないからだのまま
どこまでゆこうか
どこまでゆこうか


手を振っていた
知らない帰りみち

知らないあたしたちは
女の子のように
恥ずかしがったりもした

遠慮もなく泣くから
来たみちで
もてあましていた心細さとかよりも
洪水しそうな思い出を左手に

堤防の向こうへ
堤防の向こうへ


帆をあげて
恋に似た感情がやってくる


ほんの少しだけ
睡っていたいと
俯く
あなたの影

いづくへか
いづくへか
こころは
ぬぐえない
ふくらみまでさしかかり
膝を抱える

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