八柱腰折れ屋敷十字舎房/一番絞り
させ
それをGは細くクサビ型に切らせてパッチワークのように積み上げさせた。
外からみるとそれは美しい壁画の光景であった。
そうして装飾された八柱腰折れ屋敷は、大正期には豊多摩監獄と呼ばれ、関東大震災を生き延び、大杉栄、林房雄、中野重治、三木清、埴谷雄高らを獄に繋いだ。
俺の所から背伸びすると、ワットーの如き森、ルソーの如き火の見やぐら、
またセザンヌばり(雨の日はブラマンク風)の風景が見える。
「『中野重治書簡集』愛しきものへ」
そう、鉄格子の窓から遠望する光景はこの世のものと思えぬほど美しかった。
ポプラ並木と、決して手の届かぬ芝生がお
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