流木と私/灰泥軽茶
 
私は流木と一緒にこの浜辺へ打ち上げられ
長い時間を過ごしている

朝靄の中
私は何かがはじまる予感に抑えきれずに
流れてくる貝殻や硝子、缶からの破片を集めて
できるだけ体中に埋めつくしていく

太陽が昇ってくると
光と影や風の加減で
刹那の面影がヒカリモノに反射し
繰り返される回想がヒカゲモノに渦巻いていく

それらの歪で乱反射する悦びが
体の内側に投射され
不規則にコマ送りでフィルムを動かしていき
短い断続的なハッピーエンドを生み出していく

夜になると
指を流木にこすり発光させ
暗闇に浮かぶ何にも捉われない
クラゲたちをじっと見て過ごし
何万回目かの朝を迎える




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