「私が泣くと、紙屋が儲かる」自由律十篇/faik
 
私の事実は小説より平凡です


すし詰め電車遠ざかる吊り革自分の足で立つのを断念


沈黙車両老婆の鼻歌窓の外行きずりの雨


爆音に埋もれてる間は強く在れる気がしてた


わけない二択を悉く外してしまうような毎日


美意識といえば聞こえは良いがつまるところ自意識です


もはやテレビのリモコンでさえ上手に利かせられない


答えの出ない謎掛けばかりを 延々


所詮これも誰かにとっちゃ観賞用の感傷だ


私が泣くと、紙屋が儲かる
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