きんもくせい/ささやま ひろ
 
小さい頃ママに
この匂いは何って聞いて
キンモクセイを知った

それは秋で
僕の生まれた季節で
嬉しいなって思った

ママなんて呼び方
ありえないって思う時には
もうママは天に召されてた


金木犀の香りは
あっという間になくなって
いつも切ないって感じるけど

その切なさは
秋に似合っていて
なぜかとても愛しい


大人になって
キンモクセイの香りがして
振り返ったら

いつか図鑑で見た
金木犀の木があって
初めて見たって思った

切なさを一瞬感じたけど
君の手を少し強くにぎったら
風と一緒に消えていった





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