フェニキアの舟/天野茂典
いにかけつけてくれた
ぼくが「螺旋歌」にひどく感動し
バイクで家までのりつけて熱い思いを
伝えたいと思うことがあって
訪問したことがあったのだが
留守だったので郵便受けに置き手紙
投げ入れてきたことがあった
酒が回って林檎のようにおしゃべり野郎
ら・り・る・れ・ろ・ら・り・り
みんな酔っ払いになっちゃって
外は雪
ここは弘前
津軽三味線
津軽はいま雪のなか
津軽はいま雪のなか
ひびきわたる黄金の鉢
弦を弾いて
雪のなかに
消えて行く
吉増剛造
雪のなかのフェニキアの舟
津軽の雪に浮かべてくれ
2004・11・22
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