月へのコラージュ/
草野春心
{引用= 「書く女」
書く女は
窓辺の
机のあたりに漂っている
霧深い部屋に
そなえつけられた
軟体
書く女
かつては川
あるいは不吉な天候
いまは
流体
書く女は
選ばれるのを
待っている
唇に
その
控えめな震動に
導かれることだけを
待っている
窓の
暗さに
挿し込まれたものが
そっと
引きぬかれてゆく
空気
ひとつの
宵
書く
女は
書かない
「東京のタイル」
タイルを踏む
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