19/佐古
 
わたしは昧爽にいきる動物だった。さしこむ気配にうるむ肉体だった。青藤のドームにとけこめる呼吸をしていた。

わたしは街になじみ、独りで睡り、本を手放した。さみしさを知覚するよりすりぬけることがおおくなった。行き場のないわたしの憧れと好意を湛えたすべての無機物は、過去に留まりわたしはそれをすこしはなれたところから、ながめている。
わたしは制服を失くし、自由というなまえを手に入れた。わたしは自由でなければいけなくなった。

まぶたに降り注ぎくちびるにしみこむさみしさとまだすこしだけ戯れることができるから、懐古と後悔のあいだで懺悔をかさねることは、まだゆるされる?
だれかやなにかにすがりつくことは、?




さいごの猶予、
未明に宇宙としたしみ、わたしは息をひそめ、ずっとずっと待っている。



(110919)
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