僕/
かのこ
かなしいのかと、眉を顰め訊かれた
僕は、そう僕は、
かなしいのかも知れない、僕は
声をあげていたのだろうか、僕は
平凡な十六歳だよと、僕は
手首を切ってみれば分かる
僕の血管には、言葉ばかりが流れている
それから、眼から奇麗な嘔吐物を流して
いんらんという言葉の意味をひとに問うた頃から
もう随分な季が経った気がする
重たい脳みそがそろそろ躰を蝕み始めた
まるで海のような思春の最中(さなか)
常に、本能とたたかうんだ、僕は
僕は、そう僕は
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