埋葬/haniwa
地面に垂れ落ちた
バスタオル越しにじんわりと染み出てくるそれは
まだ少し暖かかった
それは生臭い匂いを放っていた
近くの河原までの距離が、とても長く感じられた
僕は後悔しながらそれに耐えた
河原に到着し、それをバスタオルごと横たえると
川の水で手をゆすいだ
穴を掘る道具が何もない事に気付いて
どうでもよくなり猫の死骸のとなりに寝転んで
それから、夜空の星の数を数えはじめた
すべて数え終える頃には
猫も僕も、土に還っていればいいなんて考えながら
ランニングのときに一所懸命だったのがばかばかしくなるくらい
星を数えながら、僕は呼吸できていた
「無意味だ」と呟いた
今日初めて声に出した言葉だった
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