セルロイド/kauzak
 
セルロイドの花が咲いている
背景のない淡い闇のなか

赤い花も緑の茎も葉も
ツルンとしていて

それなのに/だからこそ
異様な存在感を放っている

それを見ている僕にも
背景のない淡い闇は纏わりついて

ざらついた空気のなか
珪砂のような光量子が流れて来る

何もない空間止まった時間
ここに居るべきではないのに

セルロイドの花から目が離せなくて
まだここで燻っている
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