Kへ/A2
詩を書き始めたのも、そこからだった。
詩集に出てくる女性も、彼女だった。
巻末のぼくの写真は、彼女が撮影したものだった。
さらに、「白妙(しろたえ)」という和紙を用いて、僕は装丁してしまっていた。
神仏を備えるための紙だった。
完全に、完璧なまでに、あの詩集は死にまみれてしまった。
僕が言いたいのは
そうした偶発的な出来事を誇大することじゃなくて、
その時にしていたことが、突然なにかに変化してしまうということ。
彼女の「幸福」の選択が死に向かっていたということ。
僕の「詩集」が「死」に向かっていたということ。
瞬間では判断できないということ。
判断は、「本気」でしな
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