Noni/salco
 
Noniは1回笑った
Noniは2回笑った
いや、実は1回半だったのだ
0・5とは、淋しい内省なのだった
こうして人は気安い笑いの1つ毎にも
小さな頭蓋の中の
千数百グラムの己が脳みその
泥混じりの海底から
いちいち死貝を拾わねばならない

Noniは生涯において
7千9百9十6回笑った
一方、Ninoはおよそ
5万6千3百回笑った
それは痙攣発作や震顫に近いものであったが
その数さえ決して多いとは言えない
何故ならNoniもNinoも等しく
安寧という望ましい幸福の
公正証書は得られなかったのだから

気休めはゴマンとある
それはCDとCDケースの

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